【vol.55】相続Q&A~平成30年度税制改正の動向~
質問
平成30年度の税制改正では、相続関連でも大幅な改正があると伺いました。具体的にはどのような部分が検討されているのでしょうか?
回答
平成29年12月22日、平成30年度税制改正の大綱が閣議決定されました。本改正では、相続税の制度に関しても、事業承継税制や小規模宅地等の特例について見直しが予定されています。今回は実務への影響が大きい改正事項をご紹介いたします。
1.事業承継税制の拡充
平成30年1月1日以後10年間の特例として、猶予対象の株式の制限(総株式数の2/3)を撤廃し、納税猶予割合を現行の80%から100%に引き上げ、承継対象者も最大3名に拡大する。
2.特定の一般社団法人等に関する相続税の課税
同族関係者が理事の過半数を占める一般社団法人について、その同族理事の1人が死亡した場合、当該法人の財産を対象に、当該法人に相続税を課税する。(平成30年4月1日以後に開始する相続より適用)
3.小規模宅地等の特例の対象の見直し等
①持ち家に居住していない者に係る特定居住用宅地等の特例の対象者(いわゆる「家なき子」)の範囲から、次に掲げる者を除外する。
・相続開始前3年以内に、その者の3親等内の親族又はその者と特別の関係にある法人が所有する国内所在の家屋に居住したことがある者
・相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがある者
②貸付事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等(相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている者が当該貸付事業の用に供しているものを除く。)を除外する。
教訓
平成30年度の改正事項ではありませんが、平成30年1月1日以後に開始する相続より、従来の広大地の評価に代わって地積規模の大きな宅地の評価の適用が開始されています。本年度の改正事項と同様に、実務への影響は避けられないものですので、併せて確認しておきましょう。