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【vol.41】相続Q&A~相続税の税務調査の実態~

質問

先日、相続税の税務調査が入りました。
故人は会社をいくつか経営していて、未上場の株式を保有していたので、当然、その評価についても細かく聞かれるものだと思っていました。しかし、驚いたことに株式については全くと言っていいほど触れられることはありませんでした

事前の調査で問題のないことが確認済みなのか、それとも、株式よりも優先して確認すべきことがあるのか。答えは後者でした。調査官は持参したファイルに時々目を遣りながら、故人の生前のお金の動きについて、具体的な日付と金額を交え質問をしてきました。

後日、検討事項として税務署から届いた書面は、生前に故人から配偶者や子どもに対して行われた高額な送金について、その経緯や目的を問う内容となっていました。
相続開始時には既に払い出して残高としてはないものについて、このような質問をするのはなぜでしょう?

 

回答

相続税の税務調査は、年間で1万2,000件程度実施されます。
毎年、約5万人の方の相続について相続税の申告が行われることから考えますと、4件に1件が税務調査の対象となっていると言えます。しかも、国税庁の統計では、税務調査が行われたもののうちの約8割が申告漏れ等の指摘を受け、修正申告等を余儀なくされているのです。

昨今の相続税の税務調査では、必ずと言っていいほど、生前の故人の口座からの引き出しや、配偶者や子どもに対する送金について、その経緯や目的を問われます

この質問の狙いとしては、その送金が「お金をあげた」ということであれば、生前贈与として贈与税や相続開始前3年以内の生前贈与加算の申告漏れを指摘でき、その送金が「お金を貸した」ということであれば、貸付金として相続財産の申告漏れを指摘できるという訳です。

故人による生前のお金の出し入れについては、何年も前のことになると身内も記憶があいまいであったり、故人が単独で行っていた場合には、身内であってもわからなかったりすることがあります。

教訓

税務署では毎年の確定申告と金融機関から提出される支払調書等によって個人の財産と収入を捕捉できることに加え、先ほど述べた家族全員の預金の動きを閲覧できるため、どんなに優秀な税理士でも、相続税の調査能力という点で税務署には勝てないというのが現実です。

ただ、税務署の調査能力に匹敵する存在があるとすれば、それは故人、お亡くなりなった方自身です。生前に財産を処分したり、相続対策の一環で贈与したりすることで、財産に大きな変動があった時には、その経緯を詳細に記録しておくことで、将来、税務調査が行われても、しっかりと事実関係を立証することができます。

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