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【vol.38】相続Q&A~代償分割と換価分割~

質問

代償分割と換価分割の違いと、その留意点について教えてください。

 

回答

遺産分割は、通常、相続財産そのものを相続人で分割する現物分割により行われます。しかしながら、相続財産が自宅と預貯金がそれほど多くない場合や、未上場株式が相続財産の大半を占める場合などは、現物分割では遺産分割がまとまらないことがあります。不動産においては、相続人の共有名義で相続したり、分筆してそれぞれを相続したりする方法もありますが、それは問題の先送りに過ぎず、将来的にかえってこじれてしまうケースも少なくありません。このような場合に、現物分割に代わる方法として「代償分割」と「換価分割」があります。

 

1.代償分割
代償分割とは、特定の相続人が相続財産を現物で取得する代わりに、その現物を取得した者が他の相続人に対して債務を負担する分割方法です。代償金に充てることができる財産は相続財産に限らず、相続人固有の財産でもよいとされています。

 

2.換価分割

 換価分割とは、相続人全員が相続財産を売却し、その代金を分配する方法です。不動産を換価分割した場合には、各相続人が分配によって取得した代金の割合に従って、譲渡所得税の課税が生じます。

 

3.代償分割と換価分割の違い
遺産分割において、相続した不動産を売却する場合は、代償分割と換価分割のいずれかの方法をとることができ、その効果は双方とてもよく似ています。しかし、不動産を売却すると譲渡所得税の課税が生ずるため、税務上の特例の適用を受けられる相続人とそうでない相続人とで、納税負担が異なることになります。以下、具体例で解説いたします。

 

 

■具体例■
被相続人:父(自宅で長男と同居)
相続人:長男、ニ男、三男
相続財産:自宅不動産3,000万円、預貯金600万円

 

<ケース1>
長男が不動産および預貯金のすべて相続し、ニ男と三男に代償金1,200万円(3,600万円×1/3)ずつを支払い、相続した不動産は長男が単独で譲渡した場合(代償分割)

長男の譲渡所得税額
3,000万円-3,000万円×5%(概算取得費)-3,000万円(特別控除額※)<0
ゆえにゼロ
※長男は被相続人と同居しており、居住用不動産を譲渡した場合の3,000万円控除の適用を受けることができます。

次男または三男の譲渡所得税額
納税義務なし

 

<ケース2>
長男、ニ男、三男で共同して売却し、譲渡代金(3,000万円)および預貯金を1/3ずつ取得した場合(換価分割)

長男の譲渡所得税額
3,000万円×1/3-3,000万円×1/3×5%(概算取得費)-3,000万円(特別控除額※)<0
ゆえにゼロ

次男または三男の譲渡所得税額
{3,000万円×1/3-3,000万円×1/3×5%(取得価額)}×20.315%(長期譲渡)≒193万円

このように、遺産分割において各相続人が平等に相続しても、分割の方法によっては、税務上の取扱いの違いから、譲渡所得税を差し引いた後の手取り額では平等にならないこともあるので、注意が必要になります。

 

教訓

今回の具体例で、代償分割、換価分割のいずれのケースにおいても、相続に際して自宅の売却が行われていることに着目してください。長男は亡き父と暮らした自宅を手放すことになっていますが、果たしてその判断は長男にとっても、そして故人にとっても、本意に基づくものだったのか。相続診断士の目指す「笑顔相続」は、各相続人が平等に相続することではありません。家族が相続の後も笑顔の状態であり続けられることを一番に考え、くれぐれもテクニックばかりに走ってしまうことのないよう心がけてください。

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