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【vol.31】相続Q&A~再婚禁止期間と夫婦別氏について~

質問

平成27年12月16日、最高裁大法廷が「女性の再婚禁止期間」及び「夫婦別氏」についてそれぞれ判断を下しました。そのことについて、詳しく教えてください。

 

回答

(女性の再婚禁止期間について)
 民法第733条は、「女は前婚の解消又は取消しの日から6か月を経過した後でなければ、再婚をすることができない。」と定めています。すなわち、女性は離婚後6か月を経過しなければ再婚できない、ということです。これは、民法第772条に定める「離婚後300日以内に生まれた子の父は前夫」「婚姻後200日後に生まれた子の父は現夫」とする嫡出推定規定との兼ね合いで、離婚後すぐに再婚を認めると、前夫の子であるという推定と現夫の子であるという推定が重なるため、女性のみに再婚禁止が課せられた経緯があります。つまり、父子関係(誰が子の父親か問題)を巡る紛争を未然に防ぐという立法趣旨から従来合憲とされてきました。しかし、平成27年12月の最高裁大法廷は、民法第772条の「推定期間の重複」が100日であれば避けられるという理由から、「6か月のうち、100日を超える部分については違憲である」と判断しました。この判断を受けて、国会は民法改正を行うことが想定されます。

 

(夫婦別氏について)
 民法第750条は、「夫婦は婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」と定めています。すなわち、夫婦は、夫か妻どちらかの氏を称することが法定されています。この規定について、ほとんどの女性が結婚を機に改姓を強いられており、憲法における法の下の平等に反しているという理由で違憲訴訟が提起されました。こちらの規定については平成27年12月の最高裁大法廷は、「合憲」と判断しました。選択的夫婦別氏は議論の余地はあるものの家族や夫婦の在り方が大きく変わる、子の氏の取り扱いや戸籍法等の改正、役所の窓口対応等、影響が多岐に渡ることも考慮されたものと考えられます。

 

教訓

家族に想いを残す文化をつくり、笑顔相続を1件でも増やすことが相続診断協会の理念です。そのためには、相続法や相続税法だけでなく、「家族」を取り巻く環境にも目を配らなければなりません。時代が変わり、法律が変わり、家族や夫婦の在り方が変わっていくということを自覚し、新しい情報を常にキャッチアップしていくことも相続診断士の仕事です。

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