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【vol.26】相続Q&A~相続における土地の価格とは?~

質問

相続の遺産分割において、土地は「一物四価」のうち、どの価格によって評価すればよいでしょうか。

 

回答

土地には異なる4つの価格があり、これを「一物四価」と言います。
4つの価格は以下のとおりです。

 

・実勢価格(時価)
・公示地価
・相続税評価額(路線価)
・固定資産税評価額

 

実勢価格とは、実際の市場において、売り手と買い手との間で取引されている価格で、いわゆる不動産の「時価」と言われるものです。
公示地価とは、国土交通省の土地鑑定委員会が標準地を選定し、毎年1月1日時点の価格を判定して、一般の土地の取引価格の指標等として公表するものです。標準的な土地取引の価格の目安となるほか、路線価や固定資産評価額の算定の基礎とされます。
相続税評価額とは、原則、国税庁が相続税・贈与税の課税のため、毎年1月1日を基準にして公表する路線価に基づいて算出されます。路線価は、公示地価の8割と言われています。
固定資産税評価額とは、地方自治体が固定資産税等の課税のため、3年ごとの基準年度の前年1月1日を基準にして公表するものです。公示地価の7割と言われています。

 

相続の遺産分割においては、現預金や株式などの土地以外の財産と共に、遺産分割という同じ土俵で財産の価値を比較するため、当然のことながら他の財産と価値の基準をそろえる必要があります。ここでいう基準とは「現時点」ですべての財産を「現金化」したときの価値、土地でいえば実勢価格を採用することが望ましいといえます。
例外的に、近い将来、資産価値に著しい増減が見込まれる土地(このほかに株式等)については、その増減まで考慮することがあります。また、取引前例のない地域の土地については、最寄りの標準地における公示価格や、相続財産評価額や固定資産税評価額を用いることもあります。
なお、相続税の計算において、被相続人が生前に事業や居住の用に供していた土地については評価減を認める小規模宅地等の特例があります。しかしながら、こちらは相続税を計算する上での減額ですので、遺産分割では考慮されませんのでご注意ください。

 

教訓

 前述のように土地の価格がいくつも分かれているのは、国や地方自治体、売主や買主などが、それぞれの目的に応じて、異なる視点や基準によって評価しているためです。したがって、これらの価格を用いる際には、その用途によってしっかりと価格を使い分ける必要があります。

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