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【vol.23】相続Q&A~亡くなった娘は私のお墓に入りたいと言っていた?!~

質問

「亡くなった娘は、私(母)のお墓に入りたい。」と言っていたのですが、娘の配偶者は遺骨を渡してくれません。どうしたらよいですか。

 

回答

遺骨が誰に帰属するのかについては、次の3説があります。
(1)相続人帰属説
(2)喪主帰属説
(3)祭祀承継者帰属説

祭祀承継者とは、祭祀財産(家系図、位牌、仏具、墳墓等)を承継する者で、第一に被相続人の指定、第二に指定がないときはその地方の慣習、第三に指定もなく慣習も明らかではないときは家庭裁判所の審判において決めることになります。
この指定については、特に限定されておらず、遺言、書面、口頭等でも外部からその意思が推認できればよいとされています。
(基本法コンメンタール相続[第四判]P50参照)。

そして、最高裁判所において、「遺骨は、慣習に従って、祭祀を主宰すべき者(祭祀承継者)に帰属する。」という判例(平成元年7月18日)があります。
従いまして、お母さんが「亡くなった娘が私(母)のお墓に入りたい。」と言っていたことを証明できれば娘の遺骨を取り返すことができるかもしれませんが、その証明ができない限りは夫が埋葬管理を行うことになります。

 

教訓

 遺産の取り合いばかりに注目してしまいますが、遺骨の取り合いもあります。
そして、遺骨の帰属の問題というのは、もしかしたら、相続財産争いよりも、感情が複雑に絡まって難題のような気がします。
遺骨について家族で争うというのは、更に切ない気がしてしまいます。
一つの解決策として、分骨というものがあります。
しかし、バラバラになるのはかわいそう、おかしい、という意見もあります。
本事例のようなことが起きないように、遺骨についても希望があれば、しっかりとメッセージとして残して置く必要があります。

今回のお母さんの場合、娘がエンディングノートを作成しており、「夫のお墓に入りたくない。」と書いてあったそうなのですが、遺骨について夫に問い合わせて以降、一切見せてくれないと嘆いておりました。自筆証書遺言やエンディングノートの保管者をきちんと選んでおくことも内容と同じくらい大事です。

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