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【vol.17】相続Q&A~相続による不動産の名義変更(相続登記)はしなくてよい?!~

質問

家族構成:父、母、長男、長女の4人
2年前に、父死亡。
現金等の分割は終了していますが、自宅の土地、建物の名義は父のまま。
このままにしておくことの、メリット、デメリットを教えてください。

 

回答

相続による不動産の名義変更をしないメリット
・母が当該不動産に住み続けている場合、特に支障はなく、その時点でのコスト(登録免許税、司法書士報酬等)がかからない(この場合でも固定資産税は支払う必要があります)。

相続による不動産の名義変更をしないデメリット
・当該不動産を売却したい場合、担保に供して抵当権を設定したい場合等に相続による名義変更(登記手続)が必ず必要となり、その際に更に相続が発生している(相続人が亡くなっている)とコストも時間もかかる場合があります。

なお、死亡後5年以上経つと、住民票の除票の保存期間が過ぎてしまうため、被相続人が住所移転を繰り返している場合には、手続きが複雑となります。

 

教訓

相続税の申告や納付が義務であるのに対し,不動産の名義変更(相続登記)は義務ではありません。また,預貯金の解約や払戻しはその必要性が高いためか、すぐに手続きを行うことが多いのに比し,不動産の名義変更(相続登記)は,すぐに行わなくても,そのまま問題なく住むことができる点,聞きなれない書類を集めて,法務局に申請するという複雑な手続きが必要な点等,後回しになりがちです。また、実際に遺産分割を行おうとしたところ、協議内容に反対する相続人、金銭を要求する相続人、連絡が取れない相続人等がいて、そのまま放っておいたという方もいらっしゃいます。しかし、相続手続は、時間の経過が解決してくれるわけではありません。むしろ、時間の経過とともに複雑さを増すことになります。
不動産の名義変更(相続登記)を行わずに,放置しておくと,次の相続が発生してしまいます。必然的に相続人は増加し,権利関係が複雑になるとともに,遺産分割協議に同意してもらうための労力が増えます。一人でも同意が得られなければ,遺産分割の調停・審判をすることになりますが,相続財産の額に比べて,弁護士費用等のコストが釣り合わず,動けずじまい,という土地や建物が意外に多いのです。
不動産の名義変更(相続登記)を経なければ,事実上,売却などもできませんので,いざ,売ろうとした時にも困ったことになります。
 結局、どこかの時点で父名義から相続人名義へ変更する必要があるため、早ければ早いほど、相続手続は簡単、低コストとなります。不動産の名義変更(相続登記)を行わずに放置している状態は,百害あって一利なしです。
 このような方が身近にいたら、すぐにでも不動産の名義変更(相続登記)をするように勧めてください。

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