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【vol.60】『事例から学ぶ、経営者の円満相続の秘訣』

はじめまして。行政書士法人みらいず代表の高山 勇と申します。

みらいずは、鹿児島市の繁華街である天文館のアーケード内に位置し、地域密着の法務サポーターを目指す、行政書士と司法書士の事務所です。
日頃は、相続や遺言書の作成を中心に、皆様のお困りごとに寄り添って対応をさせて頂いております。

さて、今回は先日サポートさせていただいたお客様の事例から得た教訓をご紹介したいと思います。

このところ、相続への関心の高まりとともに、エンディングノートや終活の注目が高まっていますが、「笑顔相続」を実現するためには、お亡くなりになる方の事前準備がとても重要です。
特に、個人事業を営む方や、会社の経営者である方は、より綿密な準備が必要です。

今回のご相談は、会社社長が急逝され、会社の財務状態がわからず、今後どのような手続きを行わなければならないかもわからない、という内容でした。

お調べしたところ、この会社の株は全て社長の所有。取締役は代表取締役である社長のみでした。
従業員が数名という会社においては、株主も取締役も社長一人ということは決して珍しいものではないと思います。

しかし、このような会社で取締役が急逝した場合、取締役が不在であるため株主総会の招集ができません。
そのため、裁判所に対し一時取締役の選任の申立をすることが必要です。

株主全員の同意があれば、株主総会の招集手続きを省略して株主総会を開催することもできますが、株主の地位は共同相続人と共有状態となりますので、足並みが揃えられるかどうか現実的な問題が残ります。

この事例では、遺言によって株式の帰属が相続人お一人に確定していたため、その相続人が株主総会を開き、新しい取締役の選任しました。

取締役は選任されたものの、財務状況が把握できず、まず現状を把握することからはじまりました。従業員も会社の財務状況は把握していなかったため、新取締役は、金融機関や取引先をまわり、事情を説明し、取引状況を確認することに大変苦労されておいででした。

その苦労の結果、財産の状況も判明し、幸いなことに借入れもありませんでした。

もし、大きな借入れが存在した場合は、相続放棄を検討することになる場合もあるかと思います。その場合、相続開始から3か月以内の相続放棄の申立てが必要となりますが、会社の財産状況の把握に時間がかかった場合には、3か月の熟慮期間を過ぎてしまうということも起こりえますので注意が必要です。

この会社は、お亡くなりになった社長の人間関係により、仕事を獲得されてしました。そのため、社長亡きあとの事業継続は困難と判断し、従業員さんにも退職頂き、会社を閉鎖する方針が決定しました。

今回のケースでは、社長が急逝により財務状況の把握に大変苦労しましたが、借入れがなく、取締役に立つ方が存在し、従業員さんも協力的と、多くの幸運が重なり円満に会社を閉鎖出来ました。しかし、このようにうまく行くケースばかりではないと思われます。

この事例の教訓から、会社を経営されていらっしゃる方は、遺言を作成するなどの対策に重ねて、経営状況や財務状況(借入れや連帯保証の有無を含む)を相続人と共有することや、もしご自身がお亡くなりになった後、経営をどのようにしてほしいかをお話しされることがとても大切なことだと実感しました。

事前準備によって計画性をもって「笑顔相続」を実現させましょう。

 

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