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【vol.59】早期・円満相続のための話し合いの重要性

皆様こんにちは。大阪市内にある中崎町法律事務所代表弁護士の高砂健太郎です。

弁護士が遺産分割に関与すると「もめる」「調停、裁判になって2,3年かかる」というイメージをお持ちの方もいらっしゃいます。もちろん、そのような事件があることも確かです。

しかし、私は、できる限り早期に円満に遺産分割協議を成立させることを常に念頭に置いています。
その鍵は相続人の方々との話し合いです。
今日は、早期に解決できた事例を紹介します(守秘義務がありますので、事件を特定できないように多少事案を変更している点ご容赦ください)

【事例】

お父様が亡くなられたことにより相続が発生。相続人は5人のご兄弟。主な遺産は、賃貸マンション1棟と預貯金。
相続人の1人であるAさんは、亡くなられたお父様名義の賃貸マンション1棟をおひとりで長年管理されていましたが、マンションの老朽化が激しく、入居者も少なくなったことから、修繕費用や建替え費用の負担を考えると入居者に退去いただいたうえで売却をしたいと考えていました。
Aさんは、法定相続分5分の1しかないため、一存でマンションを売却できないだけではなく、相続人Bさんがそのマンションの1室に長年居住していたため、簡単に売却することはできません。そこで困り果てて当事務所に相談に来られました。

【解決策】

Aさんのお話しを聞き取ると、どうもBさん以外の相続人Cさん、Dさん、Eさんの3人は、Aさんと同じ思いでいるようでした。
そこで、私は、まずAさんと同じ思いである3人の相続人に直接お会いし、マンションの現状を説明しました。
3人とも、長年マンションを管理してきたAさんに感謝しており、ほぼ無償でAさんが相続してよいとの意向でした。そのため、私は、Aさんの代理人として、遺産分割調停ではなくC、D、Eの3人とそれぞれ相続分譲渡契約を締結する方針をとることにしました。
この方法であれば、C、D、Eの法定相続分がAさんに帰属するため、5分の4の相続分を確保できます。

その後、私は、長年マンションに居住しているBさんに会いに行き、Bさんのお話しをお聞きしました。
何度か通ううちに、Bさんはようやく本心をお話ししてくださいました。
Bさんは、このまま居住できるならば、売却しても構わないし、相続分譲渡の対価としての金銭も多少の生活費程度でよいとのことでした。
そうしたことから、私は、不動産業者数社に問い合せ、Bさんが居住したまま購入してもらえる業者を探しました。すると、価格こそ満額ではないものの、買取り意思を示す業者が現れました。

依頼者Aさんは、マンションの管理や修繕費の不安から売却を考えていたので、多少価格が下がることは構わないとのことでした。
これらの状況から、最終的にはAさんは、売却後もBさんの居住を保証することと、一定の金額を支払うことを条件に、Bさんの相続分全部を譲り受けることができ、マンション売却につなげることができました。

【皆さまへ】

各相続人と話し合いをすることなく、いきなり遺産分割調停を申し立ていたら、「急に調停なんて」と他の相続人の方のお気持ちを害していたかもしれません。ご依頼者だけではなく、他の相続人の意向を丹念にお聞きし、打開策を探ることが、早期、円満解決のためには必要だと感じました。
皆様のご参考になれば有難いです。

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