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【vol.57】この土地の所有者はいったい誰?

相続診断士の皆様、初めまして。東京の上野近くにあります台東総合法律事務所の代表弁護士の谷貝と申します。
私は、都内法律事務所での勤務弁護士を経て、地元である台東区に開業いたしました。
現在は、台東区をはじめとした東京都の方だけでなく、埼玉県、千葉県、神奈川県、茨城県等の方々のご相談を多くお受けしております。
弁護士の扱う相続案件となりますと、やはり被相続人が亡くなられた後の紛争案件が多い印象です。
ただ、今回はそのような中で、近年私が取り扱うことが多くなった事案の類型をご紹介したいと思います。

■事案

私が最近扱うことが多くなった案件は、いわゆる所有者不明の土地についてです。
よくテレビなどでも問題になっておりますが、特に郊外の土地に多い印象です。
所有者不明土地の問題とは、被相続人が亡くなられた後も、相続人の方々が相続登記をせずにそのまま放置し、それが何代も続くことによって、気づいたときには、現在は誰が所有者なのかわからなくなってしまったというものです。

高齢者の方が、自分の相続を考えられた時に、なぜか自分の自宅のある土地の一部の名義が、自分の亡くなった親戚と思われる人や聞いたこともないような人になっていた、と気づかれてご相談に来られました。
このケースですと、自分が長年、お住まいになっていた土地であれば、多くの場合、その土地の所有権を時効取得できる可能性があります。
その為、時効援用をしたうえで自己名義に変更し、きれいな形で次の世代に相続するお手伝いをすることができます。

ある相談者の方は、自分の、既に亡くなられた御親戚の名義になっておりました。
このケースの場合は、職務上請求を用いて相続人探しから始めました。
名義人の方は平成の時代に亡くなられた方でしたので、そんなに時間が経っているわけではなかったのですが、次々と相続人の方が見つかっていき、最終的にその数は15名にもなりました。
それぞれの方に個別に了解を得るにせよ、訴訟で解決するにせよ、これだけの相続人の方がいると、とても大変な作業となります。

別の案件は、これから相続人調査をするのですが、名義人が江戸時代末期~明治時代初期の方のようですので、今から戦々恐々としております。

これらの問題は、自分のせいではないが故に、長い時間と高額な費用をかけて解決することをためらう方が多いです。
ご自分はこれまで特に困ることはなかった。
自分の親も放置していた。
それならばこのまま自分も放置しておけばよいのでは、
というような感じです。

そういう方には、是非私がお話をしたような体験談をお話ください。
そして、「今あなたが放置してしまうと、あなたのお子様やお孫さんの代になって解決しようとしても、その当事者(相続人)はとんでもない数になっていますよ、将来あなたが放置していたことを“何で解決してくれなかったんだ”とお子様やお孫様に不満に思われてしまうかもしれませんよ」、というような形でアドバイスしてあげてください。

これもひとつの笑顔相続の手助けになると思います。

 

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