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【vol.52】遺言書と笑顔相続

はじめまして。こんにちは。

この度、相続診断協会のパートナー事務所と四国相続診断士会の発起人メンバーに参加させていただきました。
平尾政嗣税理士事務所の代表を務めております税理士・行政書士の平尾政嗣と申します。

香川県の高松市で事務所を運営しており、基本業務以外には相続・事業承継に注力して法人や個人の皆様にお役に立てるように業務を行っております。どうぞよろしくお願いいたします。

税理士が相続に関して一番多く携わる業務は「相続税申告」を中心とした業務ではないかと思います。

私が実際に携わった事例を元に、相続開始後の問題やトラブルを回避するための相続前の対策について「笑顔相続」をキーワードに見ていきたいと思います。

 

事例

今回の実例は、母が既に他界しており、数カ月前に父の相続が発生し相続人は長女Aさん次女Bさんです。

長女のAさんから父の相続税申告と関連する手続きでご依頼がありました。
相続財産は現預金と父が長女のAさんと二世帯で住んでいた自宅、というシンプルな財産状況であり、遺言書も数年前に作られていました。

遺言の内容は現預金を姉妹で各2分の1、
不動産を長女が父と住んでいることもあってか長女のAさんに全部遺贈するといった内容で、遺留分も侵害が無い内容でした。

最初にAさんからのご相談時に

「うちの相続は妹のBとも話をしており、お互い納得していて、遺言書もあるし特に問題が無い。
遺言書が無いとよく揉めると聞きますがうちは大丈夫です。」

と言われておりました。

ところが話を伺っていく流れの中で、Aさんが何かを警戒しているような感じを受けました。

その原因が資料等のやりとりをしていくうちにわかったのですが、妹であるBさんと関係があまりうまくいっていないことでした。

相続税の申告は、依頼者のみならず財産を相続した人の全員に、全体の財産の内容等を確認していただき申告内容に納得していただいたうえで、全員で申告することが基本になります。

そのため今回の相続で現預金を相続したBさんにも、ご説明をするために連絡をしました。

すると驚いたことにAさんから聞いている内容とは全く違う状況で、相続が発生したこと以外の財産状況や遺言書の内容含め、ほとんどの情報を聞いていませんでした

事前に不仲であるという事は理解できていたので特に驚きはありませんでしたが、特に妹のBさんが怒っていたのは、遺言を作っていたことを自分だけが知らなかったことであり、何年間も隠されていたことが許せず、もともとそれほど仲良くはなかったですがAさんとは今回の相続を機に縁を切りますと私に言われてしまいました。

Bさんは今回の相続手続きの件に関しては、心情的には許せないが姉妹間の問題なので、周りに迷惑はかけたくないと署名押印等のご対応は丁寧にしていただけました。
しかし、相続税申告等の手続きが終わった後の姉妹の関係がどうなっていったのか心配でなりません。

相続に関する仕事は、ほぼ毎回と言ってよいほど難解な論点や、それまで見ないようにしてきた人間関係の問題が少なからず出てきます。

最近では、エンディングノートや生前の相続対策の話も世間で広まっている中で、言葉だけが先行して法的に有効な遺言書を作れば安心だと手段を重要視しすぎている様な気もします。

実際、私がご相談を受ける事例では、残された相続人の間でのトラブルが多いのが意外なほど遺言書がある相続なのです。

これは遺言書が単に作成されていることが笑顔相続に直接繋がるというわけではなく、元々のご家族全体の関係性を壊さないための各相続人の一定の納得感のある遺言書の作成が必要だということだと思います。

 

専門士業や相続診断士といった各分野の専門知識をお持ちの方々がパートナーシップを発揮して、遺言書等の相続のコーディネートができるチームでご生前の相談に対応することで、世間に笑顔相続は益々広がっていくと思います。

笑顔相続という言葉は本当に良い言葉だと感じます。

自分が目の前で見てきた様々なトラブルを他のご家庭で起こる事が無いように、引き続き適切な情報をお伝えして、より多くのご家庭で笑顔相続が広がっていくことを祈念しております。

 

 

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