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【vol.48】あなたの街の郵便局

相続診断士の皆様こんにちは。大阪府八尾市の税理士、岩田志郎と申します。
平成29年12月1日より上級相続診断士試験が始まりましたが、新しいもの好きの私は、トップ合格を目指して、初日の最初の時間に受験しました。
その結果第1号かつ最高齢?(70歳)合格者になることができました。

今回は皆様の街で見かける、小さな郵便局のお話です。
私、大学2年の時に先輩と一緒に「税理士受験研究会」という同好会を立ち上げ、学生時代から税理士の科目合格を重ね、順調に税理士への道を進んでいましたが、何故か途中で寄り道をして、小さな郵便局(その頃は「特定郵便局」と呼んでいました。)の局長に就任しました。
局長は、一見個人事業主のように見えますが、当時は局長・職員全員が国家公務員であり、職務規律はとても厳しいものでした。

またその頃は、銀行強盗や郵便局強盗が頻発しました。
親友の局長が外国人の強盗に刺殺され、金庫の金を奪われました。
また近所の局長は強盗を取り押さえたものの、犯人に左腕をピストルで撃ち抜かれました。
これらの事件は大々的に報道されましたので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

郵便局は、歴史的に見ると、逓信省、郵政省の時代が長く続きましたが、私の時代に総務省郵政事業庁、日本郵政公社、民営化と目まぐるしく変遷しました。

 

事例

前置きが長くなりましたが、ある日先輩の元局長から相続に関する相談がありました。
自筆証書遺言を作成して、「尊厳死を希望する」ことと「長男に郵便局舎を引き継がせたい」ことを書き残したい、との御希望でした。

不治の病で回復の見込みがないとなれば、「延命治療を中止して、尊厳を保ちつつ死を迎えたい」との思いから尊厳死を望む人も多く、それを叶える方法として「日本尊厳死協会に入会する」「尊厳死宣言公正証書を作成する」等が考えられます。

しかし先輩局長が希望する「遺言書に記入する」方法は適切ではありません。
遺言書は本人の死後に効力を生じるからです。
そのような話をした結果、公正証書を選択することになりました。

一方、郵便局に関しては、小規模宅地等の特例が適用になる可能性があることを説明し、資料の収集に着手しました。
この特例は適用例が少ないと思われ、詳細な解説本もあまり見当たりませんので簡単に概要を説明いたします。

根拠条文は「租税特別措置法第69条の4(小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例)」にあります。

「被相続人等の事業の用に供されていた宅地等」として、郵便局舎の敷地の用に供されている宅地等は、一定の要件を満たしていれば400㎡まで80%の減額が適用されます。
肝心の「詳しい要件」とか「添付書類」とかは省略しますが、先に触れましたように、郵便局は3回形態が変わりましたので、「旧日本郵政公社」「郵便局株式会社」「日本郵便株式会社」等の使い分けが必要です。少しややこしいかも知れません。

後日先輩局長も穏やかな終末を迎え、トラブルゼロ、相続税額ゼロ、ということで、笑顔相続となりました。

今回は特例を適用して相続税がゼロになりましたが、相続のアドバイスは、つい節税の話が中心になりがちです。
しかし、「笑顔相続が主」で「節税は従」であることは忘れてならないと思います。

 

 

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