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【vol.1】家族への思いとエンディングノート

人は「思い込み」をします。私も、「エンディングノート」の発想に触れて目からうろこが落ちた気がしました。
遺言には法的効果を求めないと意味がないと思っていたからです。
その中でも確実安全な公正証書遺言を勧めています。この公正証書遺言は、残された遺族にはかなりのインパクトがあります。
突然、長男から見せられる「遺言書」。遺留分という権利を除けば、有無を言わさぬ強制力があります。事務所には、同居している身内から相談されるケースが多く、外に出た子供たちは蚊帳の外で話は進められます。結果、残された遺族には、「やりきれない思い」が残ることになるというわけです。遺言の中には、「付言」という遺言者の思いを書けます。残された妻への思い、祭祀承継をだれに託すのか。財産を分けた趣旨(ただし、この付言には法的強制力はありません)。
でも、物理的な財産分けにだけ目が行き、この付言に書かれた亡き人の思いまで気持ちが届かないことが多いようです。
ある事例をご紹介します。お子様のいないご夫婦がいました。お二人ともご高齢で、そのご両親も既に他界されています。ご主人は、自分の亡きあと財産はすべて、わが妻に行くものだと思っていたようです。
「いや、あなたが亡きあと、財産は法定相続人がもらえることになるんですよ。」
「え、法定相続人?家内だけではないの?」
「ええ、確かあなたの兄弟は6人で、そのうち3人が亡くなっていますよね。」
「そうです。」
「亡くなった方の子供は3人ずついらっしゃる。すると、法定相続人は、奥さんと、ご兄弟3人と甥姪さん9人、合計で13人ですね。」
「え!」
「あなたの亡きあとは奥様とご兄弟の関係の12人の方と遺産分けの話をしなければいけないことになりますね。」
「・・・・・・」
仲が悪かった兄弟や会ったこともない甥姪の方と奥さんが遺産分けの話をすることは想像がつかないとおっしゃいます。この不幸な事態を防ぐのは唯一、奥さんに全ての財産を相続させるとする『法的に有効な遺言書』」を残すことです。遺言は法定相続分に優先されます。また、兄弟には「遺留分」という遺産分けに関する権利もないため、「奥さんに全て」という希望がかなうことになります。

このように、法的に有効な遺言書を残さなければ「不幸な」事態におちいることがあります。ただ、一般的な母親思いの仲のよい兄弟が法定相続人であれば「エンディングノート」に家族への思いと遺産分割についての示唆をしておけば十分とも思います。
ところで、公正証書遺言以外にも法的効果がある遺言として「自筆証書遺言」があります。
これは、言ってみれば「隠れたる遺産分けのためのエンディングノート」です。
法的に有効にするための要件は、
(1)全文の自書
(2)日付の自書
(3)名前の自書
(4)押印(認印で可)
(5)相続発生後の裁判所の検印
です。「自筆証書遺言」は、変造の可能性や本人しかわからないので紛失の可能性、裁判所から相続人全員に呼び出しがあることなど、煩わしいことが多いのは事実です。
エンディングノートに家族への思いとともに遺言書のあり場所と「そのまま家庭裁判所にもっていけ。」と書いておけば有効に機能すると思います。エンディングノートは、遺言の法的効果を補完できる機能と付言の拡張機能もあるなあと考えています。

 

 

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